祈願前
- 嫁
あの~、お母さん。そろそろ5ヶ月になるので、今度の「いぬの日」に安産のご祈願に行こうと思うのですが、帯はどうすればいいのでしょう?
- 母
そうねえ。私の時は「さらし」しかなかったけど、今はいろんなものがあるみたいね。
- 嫁
「さらし」は巻いた方がいいですか?
- 母
安産祈願をどうして「帯祝い」っていうか、知ってる?安産祈願は妊娠5ヶ月に入った頃に白布の腹帯(岩田帯)を締めて、無事な出産と母子の健康を祈願するものなのよ。これは、平安時代に貴族社会で宗教的儀式の一つとして定着し江戸時代のはじめに庶民にも広がったのよ。腹帯には、難産防止や腹部の保護・保温という意味合いもあるそうよ。だから、出産という人生の大事に際し、身を引き締める上でも、まずは、さらしの帯を巻くのよ。
- 嫁
へえ、そうなんですか。出産は人生の一大事ですもんね。お母さんもそうしたように、縁起物である腹帯を大切にした方がいいですよね。洗い替え用に他のものを使えばいいんですものね。
- 母
それとね、帯は「腹帯からおしめまで」と言われるように、出産後は産着やガーゼに使って、最後まで使い切るものなのよ。
祈願当日
- 息子
今日は暑いけど、短パンや裸足だとまずいかな?
- 母
そりゃあそうよ。神さまにお願いに伺うんだから、普段より改まった服装にしなさいね。人様にお呼ばれした時だって、それなりの装いで伺うでしょ。ましてや、大切な式に臨むのよ。
- 息子
俺が先にご祈祷の受付に行ってくるね。
- 母
いいのよ、急がなくて。神さまにお願いに伺う時は、心を落ち着かせるの。みんな揃っていないでお願いをすると、神社さんも困るでしょ。それに安産祈願は妊婦さんの名前で申し込むんだからね。
祈願終了後
- 嫁
お札やお守り、安産腹帯、絵馬など、有り難い品をたくさん頂きました。絵馬はどうすればいいのかな?
- 母
絵馬にはね、神さまへのお願い事を書くのよ。あそこに絵馬掛けがあるけど、絵馬掛けに納めても自宅でおまつりしてもどちらでもいいのよ。
- 息子
あとさ、中にお米やお菓子があるけど、これは?
- 母
お米やお菓子、お神酒などは神さまからのお下がりといって、おいしく食べてお力を頂くのよ。
- 嫁
あ、そういえば、お友達から頂いたお守りがあるのですが、いっしょに持っていても平気ですか?
- 母
もちろん大丈夫よ。神さまはケンカしないからね。それぞれのお力を頂けるはずよ。では、お家に帰って、頂いた腹帯を締めましょうね。巻き方は、私が教えてあげるわ。これは祖母になる私の務めですから。